小動物を用いた研究においてテレメトリー(無線生体信号計測)は多くの利点をもたらしますが、その導入には外科的手技の習得という大きなハードルがあります。
テレメータ(送信機)の埋め込み手術を成功させるには、適切な位置への設置、動物福祉を維持するための外科技術、そしてトレーニングが欠かせません。
この課題に対応するため、ADInstrumentsはInsideScientificと提携し、「Excellence in Small-Animal Surgery and Telemetry Research Training Program」を共同開催しました。
このワークショップは、テレメータ埋め込みに必要な知識と技術を研究者へ提供することを目的としており、ブリティッシュコロンビア大学オカナガン校(UBC Okanagan)の最先端の小動物手術施設で開催されました。
講師は、経験豊富な外科専門家であるChristopher West博士とOliver Wearing博士でした。2日間の集中トレーニングで、参加者は実際の手術実習を通じて学びました。
今回は「米国陸軍外科研究所(USAISR)」のリサーチサイエンティストOlivia Tran氏にインタビューし、昨年11月に参加した際の体験や学びについてお話を伺いました。
手術技術と動物生存率の向上
Olivia Tran氏の現在の研究テーマは、小動物モデルを用いた多発外傷と出血性ショックの研究です。
彼女の研究室では、テレメトリーの利点のうち、特に覚醒状態かつ自由行動下の動物から長期間にわたって生理データを取得できる点で魅力を感じていました。
研究室がKahaテレメトリーシステムを導入した後、同僚からこのワークショップを紹介され、外科技術をさらに磨く機会として参加を決意したそうです。
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Kahaシステム・シングルケージ・セットアップ
「ラットを扱った経験は長いのですが、これまでは手術を自分で行うことはほとんどありませんでした。博士課程では手術の補助に携わっていましたが、実際に執刀したのは数回だけです。まったくの初心者ではないけれど、専門家でもありません」
彼女が参加を決めた最大の理由は、動物福祉を守り、無駄な犠牲を減らすための正しい手術法を学ぶことでした。
「動物を無駄にしないために、正しい埋め込み手術の方法を学びたかったんです。動物の生存率を高めることが一番の動機でした」
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専門家による実践的トレーニング
ワークショップの2日間、Olivia Tran氏はWest博士とWearing博士の指導のもと、講義・ライブデモ・実技練習を通じて実践的なトレーニングを受けました。
「クリスとオリバーはとても親切で、どんな質問にも丁寧に答えてくれました。本当に素晴らしい講師陣でした」
また、プログラムでは無菌操作・麻酔と鎮痛の管理・術後ケアなど、手術全般に必要な知識もカバーされました。
クリストファー・ウェスト医師
オリバー・ウェアリング博士
さらに、Kahaテレメトリー機器自体にも初めて触れる機会となりました。
「設備に触れるのは初めてでしたが、セットアップやインプラントの接続も非常に分かりやすかったです。講師の説明が丁寧で、とても理解しやすかったです」
主な学びと今後の展望
この研修で得た知識と経験により、Tran氏は今後、研究室内でより積極的にKahaテレメトリー関連の手術を担当していく予定です。
今回の研修には同僚と一緒に参加したため、将来的には2人が中心となってテレメータ埋め込みを行うことになるでしょう。
「このワークショップは、小動物手術の基礎を学びたい人にも最適です。たとえばカニュレーション(血管挿入)を行う際の外科技術も学べます。クリスは縫合の仕方や血管の分離の方法も教えてくれるので、他の外科手技にも役立ちます」
外科技術をさらに高めるために
「Excellence in Small-Animal Surgery and Telemetry Research Training Program」はすでに終了しましたが、ADInstrumentsでは外科トレーニング機会についての問い合わせを受け付けています。
詳細はADInstrumentsチームまでお問い合わせください。
ADInstrumentsは、インタビューにご協力いただいたOlivia Tran氏に心より感謝いたします。
今後の研究のさらなる発展をお祈りしています。